グリム童話では「灰かぶり」。灰=cinder(英語)、仏語ではcenderillon(サンドリヨン)となっていて、女性を蔑視する言葉のようです。若い女性の名はエラ(ella)。義姉に<灰を被ったエラ>からシンデレラと渾名されることに(Cinder+ella、合成辞)。誰もが知っている有名な物語は特に女性の夢をかき立てるばかりでなく、舞台芸術に必要なほとんどの要素を有しています。でも、なぜ、舞踏会で12時に帰らなければならいの?等の疑問もいくつかあります。オペラ季節館の作品ではこの点に一つの方向を出してみました。
第1幕
◆ある小さな国の物語。
◆ 最愛の母を失い悲しむエラの周りで森の動物達が相哀れむ踊り。
◆ 森では謎の女が妖精のピルエットに魔法を習っている。でもなかなかうまくいかない。魔法は100年習ってやっと一人前というわけ
◆ 母を失ったエラのもとに、新しい母が二人の女性を連れてやってくる。エラにとっては姉にあたる。賑やかで楽しい新しい家庭もつかの間、エラの父が急逝。父の死後、義母、姉達の態度が一変。財産を食いつくし、エラをシンデレラと渾名して虐げる。
◆一方、お城のこと。妻を亡くした王様には1人息子の王子。王は早く嫁を取らしたいと思っているものの、王子はその気がない。その上、諸国を見て回るとばかり度に出てしまい、ボロボロの身なりで帰ってきたのは3年後。王は、帰国した王子に嫁を取らせようと見合いの為の大舞踏会を挙行。小さな国の年頃の娘は急なお達しにてんやわんや。エラの義姉も、母は王の後妻をねらってうきうき。エラもお城に行こうとするが、拒否されてしまう。
◆ 一人残ったエラのもとにあの謎の女。以前、少しばかりエラに親切にしてもらった謎の女は、下手な魔法を使ってエラをお姫さまに仕立て城へ送り出す。ただ、自分の魔法は「今日限りしか効き目がないから、12時までに家へお帰り」と告げる。
◆さて、舞踏会場には、大勢の着飾った女性達。その中にみすぼらし身なりの男が一人。逃げる女性の中で快く男の手を取ったのはたどり着いたばかりのシンデレラ。会話のはずむ中で時は12時を告げている・・・。
◆早足で逃げるシンデレラは片一方の銀の靴を残していく。嫁を取る気のなかった王子は、大勢の前で自分こそ王子と名乗る。驚愕する女達の前でシンデレラこそ私の嫁に相応しい人と叫び、靴の持ち主を探せと命令。
第2幕
◆そして、大公一行による靴を合わせるための行脚が始まる。ついにシンデレラの家にもやってくる。義姉によるはちゃめちゃの靴合わせ。だが合わない。帰ろうとする大公を義母は呼び止める。シンデレラに試させるという。
◆義母は舞踏会当日のシンデレラの不可解な行動に、もしかしたら舞踏会に行っていたのではないかという疑念をもっていたのだ。シンデレラが靴を合わせようとすると、義姉は靴をわざとこわしてしまう。
◆嘆く大公。その時、シンデレラはなんともう一方の靴を差し出すのだった!
◆舞台は婚礼の場。そこにあの謎の女が、城の周りを怪しくうろついていたことで引っ立てられ、王の前に。その女は、さる王様の妻。城内の謀略で王を失い城を追われ、身分を隠し諸国を漫遊していたという。
◆しかし彼女は、シンデレラの恩人。王子も諸国遍歴の折助けられたという。王子は謎の女を、「シンデレラの母として。城に迎えたい」という。王様はびっくり。謎の女は承諾する。つまり王様に新しい妻が!
◆ かくてお城では、二組の婚礼のお祝いが盛大に挙行される。
◆ソリスト
シンデレラ(本当の名前はエラ)
アルマーニ王子(国王の1人息子)
(シンデレラの実父)
(夫を亡くした欲張りな女でシンデレラの継母となる)
シャーネル
エルメス
ゴーディバ国王(妻を亡くした小さな国の王様)
大公
バーバリ婆(諸国を漫遊する謎の女)
ピルエット(森の妖精)
◆ 舞踊
森の動物たち、舞踏会の女性たち
◆ 伴奏
コンピューター・ミュージック+小編成の楽器群