MET(メトロポリタン・オペラ)のオペラで先頃新作初演した「魔法の島」が映画(ライブ版)で公開されている。シェークスピアの二つの戯曲「真夏の夜の夢」と「テンペスト」を下敷きに、バロックの名曲を当てはめるというパスティーシュ(作風の模倣)。
曲はヘンデル、ラモー、ヴィヴァルディ等を使用。物語の場面に応じて選曲、それに歌詞をのせて一つの音楽物語にするというもの。
13日夜、銀座・東劇で観せて戴いたが、一言でいうと「面白かった」。1.に、ソリストがすばらしい。2.に二つの戯曲をうまく換骨奪胎させている。3.に、舞台美術が面白い(コンピューターグラフィックを駆使)。METの多々ある作品の中でこんな「遊び」もあっていいということだろう。メリスマ唱法によるさながらアリア大会の趣きで時には退屈もあったが。「テンペスト」も「真夏・・」もストリーを知らないと全体を理解しにくい。僕は前者をあまり知らないのでちょっととまどったけれど・・・。
ドミンゴが物語の要を担う。声も年齢を感じさせず観客を圧倒。登場するとどーっと拍手が沸く。
企画全体が観客サービスを意識している?。METにおける昨年暮れの「ヘンゼルとグレーテル」(英語上演)も、お菓子の家がミキサーをガーガー廻して菓子作りを体験・食べさせるケーキレストランのようで、実に面白い。どこかの絵本に出てくるようなお決まりの場面じゃ誰も驚かないものねえ。◆パスティーシュなら、僕も2003年にグリムの「ブレーメンの音楽隊」で製作・実演(梅田芸術劇場等で十数回)。中途半端な物語を改訂し、音楽は著名なクラシックの音楽から選曲するなど手法はMETと全く同じ。
オペラ公演は、一般的に原作至上主義が主流だ。でも制作者も指揮者も演出家もある意味では観客代表。オペラを知らない圧倒的人々に成り代わって、つまらない曲だったり、冗漫な物語だったら、どんどん削ったり変えたりする勇気が必要だろう。3月にやってくるピーター・ブルック演出の「魔笛」は、7人のソリストと俳優二人、ピアノ1台という構成。時間も90分。事前に部分を観たかぎり舞台にはほとんどお金がかかっていない。これで世界を回る。
さて、私たち・・硬直した常識や態度から足抜けしよう。様々な可能性を探る事はいつの世でも大切。とは、METからも学んだ。
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